東雲の気まぐれな創造

絵とITに関する話を中心としたブログ

小学生のプログラミング教育必修化に対する情報系大学生の考察

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おそらく幼い子どもをもつ親の皆さまは特にこの話題は気になっているのではないでしょうか。自分の子どもにもプログラミングをやらせた方がいいのかななんて考えている人も多いと思います。というわけで、なるべく難しい話は省略して気になる部分に触れていきます。

プログラミングとは

上の画像のように英語や数字の羅列することでコンピュータに自分がさせたい処理をさせること。ウェブサイトやソフトウェア、スマホアプリなどで行われている処理はプログラミングによって作られています。


直接勉強したことがない人でもブログのデザインをいじるためにHTMLやCSSをコピペした経験がある人がいるのではないでしょうか。あれもプログラミングに触れていると言えます。


つまり、プログラミングというのはとても身近な存在であり、コンピュータを使って何かを創りたいと思った時にはかなり必要な技術なのです。

記事筆者の東雲は

2017年8月現在、情報系大学の4年生です。プログラミングは大学生になってから勉強し始めました。主に人工知能自然言語処理という分野の研究を行い、プログラミングを日常的にしていて、情報系の国家資格を保有しています。また、プログラミング教室のバイトをしていて小学生全学年に対してプログラミングを教えている経験があります。

小学生のプログラミング教育必修化とは

文部科学省が2020年から施行される小学校学習指導要領にプログラミング教育の必修化の内容を追加しました。世の中のIT化でスマホなどインターネットがより身近になったことやIT人材が不足していることが理由です。

プログラミング必修化という表現による誤解

プログラミングという授業が追加される

おそらくプログラミングという授業は追加されません。国語・算数・英語・理科・社会など既存の授業の中でコンピュータの勉強をしていくことになります。

プログラミングスキルが身につく

身につかない可能性が高いです。なぜなら、プログラミングそのものを本格的に教える可能性が少ないからです。そもそも小学生のプログラミング教育の目的はプログラミングスキルの上達ではなく、情報の扱い方やコンピュータなどのIT分野の知識に触れて早い段階からITについて理解することです。

プログラミングの勉強は早く始めた方が良い

必ずしも早く始める必要はありません。東雲はプログラミングを大学生になって初めて経験しました。なので、小学生のうちからプログラミングの勉強をしなくても手遅れではありません。

東雲が必修化に対して個人的に思うこと

プログラミング教育の必修化に関しては必要性を感じません。正直、こんなやり方ではあまり意味がないと思いますし、小学校でプログラミングの授業をやる必要はないと思います。その理由が以下になります。

そもそもプログラミング教育を教える人材がいない

おそらくプログラミング教育が必修化されたら、現在の授業を担当している教師がプログラミング教育についても教えることになると思います。当然、小学校教師はプログラミング教育において素人の人がほとんどだと思います。その結果、本来の担当科目だけではなく、IT系の知識技術まで必要になってきます。つまり、小学校教師の負担は跳ね上がります。さらに、1人で1クラス全員にプログラミング教育をするのは不可能です。東雲はバイトで小学生にプログラミングを教えていましたが、1人で教えられるのは5人が限界です。1クラス30人の生徒がいるとすれば、最低でも6人の教師がいないとまともな授業ができないでしょう。

教育に必要な予算が足りない

プログラミングの勉強をするなら全生徒にパソコンが必要になります。どうやって用意するのでしょうか?個人のパソコンを配布せずに、パソコン教室を作って共同で使うようにしたとしても、全ての小学校でパソコン教室を作るのはかなりの負担のはずです。

教育方法は各小学校の教師任せで深刻な教育格差の発生

国語や算数のようにどの科目の中でプログラミング教育を行うかも小学校によって違うでしょう。さらに、どのように教えるのか何を教えるかは教師個人の自由です。学校によって教えられるプログラミング教育は全く別物になると思いますし、ほとんど教えないような学校も出てくると思います。

低レベルのIT人材はブラックな仕事にしかならない

IT人材が不足していると言われていますが、主に不足しているのは下請け企業などのブラックな職場で働く人材です。安い人件費で命令通りにたくさん働く人材が足りていないのです。高待遇の企業はだいたい人材が足りています。つまり、ブラックな環境で働いてくれる人材が欲しいのではないでしょうか。さらにに言えば、人工知能の進化で単純なプログラミングなら人がやる必要すらなくなってくる可能性があります。したがって、中途半端に教育してもあまり意味がないのです。

子どもに必要な教育について

後半は小学生のプログラミング必修化についてだいぶ批判的でしたが、ではIT系について学ぶ上で子どもには何が必要なのかについて書こうと思います。


大切なことは情報リテラシーを学ぶことと柔軟に考える力を養うことです。情報リテラシーとは情報を正しく扱う能力です。


スマホなどによってインターネットは小学生にも身近な存在になってきており、情報の扱い方を早い段階から学ぶ必要があると思います。小学生だけではなく全世代の人が学ばなければならないと思います。長くなりそうなので詳しくは別の記事で書きます。


プログラミングとは作文で例えると、段落始めは1文字空けるというような書き方のルール・文法みたいなものです。作文はいくら書き方を知っていても、考える力がないと面白い文章は書けないと思います。プログラミングも同じなのです。いくらプログラミングスキルがあっても考える力がないと面白いシステムやアプリは創れないのです。


なので、まずはたくさんのことを経験していろんなことに興味を持つことが大切です。プログラミングの勉強はそれからでも遅くはありません。上でも言いましたが、東雲もプログラミング始めたのは大学生になってからですからね!


もちろん、プログラミングの勉強を早い時期から始めることは悪いことではありません。あくまで、勉強の優先度としてはそこまで高くないという話です。


もし、早い段階からプログラミングを勉強したいのであれば、プログラミングスクールに通うのが良いと思います。かなり丁寧に教えてくれると思うので誰でもある程度はプログラミングができるようになると思います。


スクールは値段が高いので独学でやりたいという人はプログラミングスクールが書いている参考書を買うという方法があります。おそらくかなりわかりやすく書いてくれているはずです。一般向けに出版されているプログラミングの参考書はタイトルに入門と書いてあってもかなり難しく感じることが多いと思うので勉強のし始めにはオススメしません。


他にはインターネットで解説動画を探すのもいいかもしれません。または、プログラミング入門者向けの教育番組がテレビで放送されているようなのでそういうのを観てもいいかもしれません。




というわけで、今回は小学生のプログラミング教育必修化を中心に考察してきました。上記のように、プログラミング教育の必修化では本格的に技術を磨くということはあまりしないと思うので親の皆さまは子どもが勉強についていけるだろうかとかあまり不安になる必要はないと思います。プログラミングの勉強を始めるタイミングについてもいつからでも遅くはありません。なので、あまり焦らなくてもいいですよ。